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原状回復特約が認められる条件

原状回復特約が認められる条件

2017/07/22

賃貸借契約において借主の原状回復義務を契約の中に盛り込むことを原状回復特約といいます。

この特約が付されると通常の使用による損耗も含めて借主は賃貸借契約終了時に賃貸物件を元通りにする義務を負います。

とはいえ賃貸人が恣意的に原状回復特約の内容を決めることはできません。

特約が有効であるためには以下の要件すべてを満たす必要があります。

1 特約の必要があり、合理的・客観的理由があること
2 賃借人が特約により原状回復義務を超えた義務を負うことを認識していること
3 賃借人が義務負担の意思表明をしていること

特約が合理的であるためには、賃料が周辺地域の物件と比較して殊更高額でないことが挙げられます。

高額であればその中に修繕費等が含まれると解釈され、特約が合理的でないと判断される場合があります。

原状回復義務特約は賃借人の乱雑な使用により部屋が毀損した場合だけでなく、通常の使用による損耗についても可能ですが、賃借人が特約について知らなければ請求できません。

したがって、賃貸人は特約について賃借人に予め説明しておくべきでしょう。

説明を省略するためには賃貸借契約書の中に原状回復義務特約を記載しておき、賃借人に契約書を読んでもらった上で署名捺印してもらえば、上記2及び3の要件を満たすことができます。

ただその一方で契約書の記載だけでは認められず、賃借人の周知が必要とする判例もあります。賃借人が事業者であれば個人の場合よりも若干要件の判断が緩和されます。

このように本来賃貸人が負担すべき自然損耗についても原状回復特約を付せるのですが、要件を理解した上で請求しなければ誤解によるトラブルになることがあります。

賃貸借契約はお互いが納得ずくで終了できるよう、契約書や口頭により原状回復特約を含め内容の詳細は明確にしておきましょう。

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