原状回復工事とは、賃貸住宅などに住んでいた入居者が退去したあとの部屋をできるだけ最初の状態に戻すことをいいます。
つまり退去後に室内のハウスクリーニングをおこなうだけではなく、壁のクロスを貼り替えたりふすまや畳を取り替えたりするなど出来るだけ物件を入居前の状態にするのです。
それによって次の入居者が気持ちよく生活が出来ることはもちろん、物件の資産価値が下がらないように維持することを目的としています。
原状回復工事をおこなうための場所やポイントはいくつかありますが、トイレやバスルーム、キッチンや洗面台などの水回りは汚れやすい場所であるので特にハウスクリーニングの重点的な対象となり、専門家による薬剤などでのメンテナンスが必要となる部分です。
さらに壁のクロスは喫煙者が入居者だった場合には、一般的な生活の汚れと考えられる非喫煙者が居住者であった場合よりも臭いや汚れが付着しやすいものです。
また紙が貼ってあるふすまや障子は破れたり日に焼けたりしていることが多く、畳も使い方によって畳表などを張り替える必要があります。
ところでマンションやアパートの部屋が一箇所空いたからといって、いちいち室内外のすべてをきれいにすることは考えられません。
しかし一戸建て住宅の場合には前に住んでいた人の居住年数によって、内装だけではなく屋根や外壁などの塗り替えをおこなったほうが良い場合も考えられるでしょう。
経費としては大きな金額の支出となりますが、入居率にもかかわってくることなので必要に応じておこなうことがおすすめです。
さて原状回復工事をおこなう場合には、経年劣化についてはそれまでの入居者には直接の責任はないものというのが国の方針です。けれども一方において入居によって生じた劣化や汚れなどで、あきらかに退去者に責任があると認定される場合には原状回復工事の費用を請求することが可能です。そこで原状回復工事については専門の業者などに相談しながら内容を見極めて、資産価値が下がらないように定期的なメンテナンスとすることも大切なのです。