アスベスト調査義務化|内装工事をする際の注意点
2026/03/022026/03/02
「良い物件が見つかった。でも“アスベストが含まれている可能性があるから、内装工事前にアスベスト調査が必要”と言われた…」
という場合もあるかと思います。ただ、ここで多いのが 「アスベスト調査って結局なに?」「いくら?」「いつやる?」「工期は遅れる?」 と、情報が整理できないまま関係者とのやり取りが増えて、 出店の段取りが止まってしまうケースです。
そこで本日は、内装工事の際のアスベストの注意点について、 「何を、いつ、誰が」やれば止まらないのか、実務の順番で解説していきます。
1. アスベストとは

アスベスト(石綿)は、耐熱性・耐久性・断熱性に優れ、高度経済成長期に建材として広く使われました。
問題は、 繊維が空気中に飛散して吸い込むと健康被害につながる点です。
そのため現在は、解体・改修などで建材を壊したり削ったりする作業では、 “飛散させない・吸わない”ためのルールが厳格化されています。
2006年9月以降アスベストの使用が全面禁止されましたが、2006年9月以前に建てられた建物は今も多く存在しており、 アスベストの取り扱いについては法令遵守が求められます。
2. 内装工事に使われたアスベスト
「解体工事の話でしょ?」と思われがちですが、店舗の内装工事(改修)でも、壁・天井・床を壊す/剥がす/穴あけするなら対象です。
とくに店舗・テナントで遭遇しやすいのは、次のような建材です(例):
2-1. 天井まわり
- 天井材(ボード類)
- 天井裏の断熱・耐火被覆材
- 旧来の吹付け材が使われた建物(※要注意。除去は手続きが重い)
2-2. 壁・間仕切り
- 壁材(石膏ボード等のボード類)
- 下地・仕上げ材(塗材など)
- 店舗のレイアウト変更で“壁を壊す”場合は要チェック
2-3. 床・巾木・接着剤
- 床材そのもの(Pタイル等の時代のもの)
- 接着剤・下地材(床の張替えは「剥がす」「削る」が入りやすい)
床の張替えは「剥がす」「削る」が入りやすく、事前調査→必要なら分析の流れになりやすいです。
2-4. 設備まわり(見落としがち)
- 配管の保温材、耐火被覆
- 機械室・天井裏の断熱材(設備業者が触る範囲も同時に確認)
内装業者だけで完結せず、設備業者が触る範囲も同時に確認が必要です。
3. 内装工事でアスベスト調査が「義務化」
まず、厚生労働省のサイトに下記のように記載があります。

解体・改修工事を行う際には、その規模の大小にかかわらず工事前に解体・改修作業に係る部分の全ての材料について、石綿(アスベスト)含有の有無の事前調査を行う必要があります。
3-1. 原則:解体・改修工事は、規模に関係なく「事前調査」が必要
- 建築物の解体・改修工事を行う際、工事前に事前調査が必要
- 調査対象は、解体・改修作業に係る部分の全ての材料
つまり、店舗内装でよくある以下は、基本的に「事前調査の対象」と考えてください。
- スケルトン戻し・原状回復
- 壁・天井の撤去/開口
- 床の剥がし・下地調整(削りが入る工事)
- 給排水・空調・ダクト工事で、天井や壁に穴を開ける
- 看板・外装の一部撤去(該当箇所の材料を壊す場合)
3-2. 「電子報告(電子申請)」が必要になる事例
事前調査そのものは原則必要で、そこに追加で「電子報告」が乗るイメージです。
労働基準監督署や自治体への電子報告が必要になる例:
- 建築物の解体工事:解体部分の床面積合計が80㎡以上
- 建築物の改修工事:請負金額(税込)100万円以上
環境省側(大気汚染防止法)でも、条件に該当する場合は都道府県等へ報告が必要です。 (環境省)
店舗内装は、改修工事の請負が100万円を超えることが普通にあります。
その場合、「事前調査+電子報告」までがセットになります。
3-3. 調査は「有資格者が実施」(2023年10月〜)
建築物の事前調査は、建築物石綿含有建材調査者等の“要件を満たす者”が行う必要があります(建築物は2023年10月から)。
※工作物は2026年1月から要件適用、という整理も公的サイトで示されています。 (石綿総合情報ポータルサイト)
弊社では、建築物石綿含有建材調査者の資格保有者が在籍しておりまして、アスベスト調査も行っております。
ご不安な場合はお気軽にお問い合わせください。
3-4. アスベスト事前調査を怠った又は虚偽の報告をした場合の罰則
事前調査結果の報告を怠った、または虚偽の報告をした場合は30万円以下の罰金を科せられます。
そのため、アスベストの事前調査はきちんとやられる事をお勧めいたします。
4. アスベスト調査の流れ
「何を、いつ、誰がやるか」を、実務の順番で書きます。
STEP0:物件検討段階で“先に”確認(ここが遅れると工期が止まる)
不動産会社や管理会社などから「アスベストの可能性があるので調査が必要」と言われたら、まずやることは3つです。
- 竣工年・改修履歴を確認(いつの建材か)
- 設計図書・仕様書があるか(書面調査に必要)
- 工事範囲(壊す・剥がす・削る箇所)を、内装業者と“図面で”確定
ここが曖昧だと、調査範囲が増えたり、再調査で時間と費用が増えやすいです。
STEP1:事前調査(書面+目視)
- 設計図書等の文書調査(原則)+目視調査を両方行う
- 書面+目視だけの調査費用は数万円程度が多いです。
- 対象は、工事で触る範囲の全ての材料
よくある落とし穴
- 図面が無い/古い/改修で現況と違う
- 目視だけで「たぶん大丈夫」と進めてしまう → 判断がつかない材料は、次のSTEP2へ。
STEP2:必要に応じて「検体採取→分析」
目視・書面で特定できない場合、検体採取して分析で確定させます。
(目視での判断ができない場合に分析を行わないときは、当該建材はアスベスト含有材とみなされます)
費用の目安(相場感)としては、サンプルの検体数が多ければ費用も増加しますが、おおむね数万円〜十数万円程度が多いです。
実際のお見積り例(サンプル数10検体の場合)

サンプル数(検体数)で総額が大きく変わるので、「どこを壊すか」で費用が増減します。
STEP3:調査結果の整理(記録・保存・掲示)
事前調査の結果は、記録を作成して3年間保存し、作業場所に備え付け、概要を掲示する必要があります。
STEP4:一定規模以上は「電子システムで報告」
一定規模以上の解体・改修工事は、事前調査結果等を電子システムで届け出が必要です。
- どの工事が報告対象か(80㎡・100万円等)
- どのシステムを使うか(石綿事前調査結果報告システム)
STEP5:含有ありの場合は「工法・隔離・届出・廃棄」まで一気に重くなる
吹付け石綿や保温材等の除去などは、工事開始前の届出(14日前など)が必要なケースがあります。
また、環境省は解体等に係る飛散防止のマニュアルを出しています。 (環境省)
店舗内装工事でも、アスベストの疑いがある箇所が見つかった瞬間に工程・費用・業者要件が変わりますので注意が必要です。
5. 失敗しないためのチェックリスト(店舗出店の現場で効く)
5-1. 工事発注前
- 「事前調査(書面+目視)」は見積に含まれているか
- 「分析が必要になった場合の単価・追加条件」は明記されているか
- 報告対象工事なら「電子報告」対応は誰がやるか(元請/自主施工)
- 調査は要件を満たす者(有資格者)か
5-2. スケジュール
- 調査→分析→報告→(含有時)届出→工事、の順
- 工期がタイトな出店ほど、物件決定前から調査段取りを組む
5-3. 「工事範囲の確定」が費用を決める
- 予定変更で「壊す箇所が増える」=調査範囲が増える
- 追加の検体採取が増える
- 結果として、費用も日程も膨らむ → だからこそ、設計(内装プラン)とアスベスト調査はセットで進めるのが安全です。
6. よくある質問(Q&A)
Q1. 小さな内装工事(例えば壁に穴を開けるだけ)でもアスベスト調査が必要?
原則として、規模の大小にかかわらず事前調査が必要です。
ただし、どこまでを工事範囲に含めるかで調査範囲が変わるので、“施工内容を明確化してから”調査が基本です。
Q2. 図面が無い物件はどうする?
書面が無い場合もあり得ます。
この場合、目視調査の比重が上がり、判断が難しい部位は検体採取・分析で確定する流れになります。
Q3. 誰が責任者になりますか?
報告義務などは、法令上「元請業者」等に課せられる整理が示されています。
ただし店舗出店の際には、発注者側も「適法な対応がされているか確認する」ことがリスク回避の上では重要です。
7. まとめ
- 内装工事(改修)でも、工事前のアスベスト事前調査は原則必要
- 調査は書面+目視、そして不明なら検体採取・分析
- 一定規模以上は電子報告が義務
- 調査記録は3年保存・掲示
- 含有が出たら、除去方法・届出・隔離などで工程が大きく変わる
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