【アスベスト調査】内装解体する際の注意点|退去前にやること・費用・手順
2026/02/232026/02/23
退去を進めようとしたら、「アスベスト(石綿)の調査が必要です」と言われて焦る方は多いです。
「調査は誰が手配するの?」「費用はどれくらい?」「退去日までに間に合う?」と、不安が一気に増えますよね。
アスベスト対応は、調査結果によって工事方法や手続き、工程まで変わることがあります。
だからこそ最初に大切なのは、“知識”よりも段取りです。
この記事では、内装解体の際のアスベストの事前調査の流れ、費用の考え方、報告・届出、業者選びと退去に間に合わせる段取りを実務目線で解説いたします。
1なぜ退去(原状回復)でアスベスト調査が必要になるのか
アスベストは日本では1955年ごろから建材として使われ始め、 ビルの高層化が進んだ1960年代(高度成長期)に多く使用されました。

アスベストは、含有建材を破砕・切断・穿孔(穴あけ)すると粉じんとして飛散するリスクが上がります。
そして厄介なのは、 アスベストの粉じんは非常に細かく、空気中に漂いやすい ことです。
吸い込むと肺の奥まで入り込み、長い年月を経て健康被害(中皮腫、肺がん、石綿肺など)につながる可能性 があるとされています。
さらに、見た目や臭いで気づきにくく、その場で症状が出ないため、知らないうちに吸い込んでしまう点が大きなリスク です。
こうした健康被害リスクを背景に規制は段階的に強化され、最終的に2006年9月1日から 0.1%超含有する製品の製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止 (実質的な全面禁止)となりました。
ただし、2006年9月以前に建てられた建物は今も多く、アスベストが含まれる建物が現在も存在します。
そのため、2006年9月以前の建物は、工事前に「アスベストを含む建材があるか」を調べ、 適切な工法・養生・廃棄方法を選ぶ必要があります。
オーナー・管理会社が「調査しないと工事できません」と言うのは、法令順守だけでなく、近隣トラブルや工事差し止め、 建物全体への影響を避けるためでもあります。
万が一、共用部に粉じんが広がると「テナント全体の問題」になり、退去どころではなくなるからです。
2どこに入っている?内装解体で“アスベストが含まれている箇所”
アスベストが含まれているかは、見た目だけで判断するのは難しいです。
ただし、内装解体で「アスベストが含まれている箇所」には傾向があります。
アスベストは耐火性・断熱性に優れているため、天井裏・配管周り・ボード類・床材など “身近な部位”に使われていることがあります。
内装解体で特に要注意になりやすい部位(例)
- 天井材・吸音板・天井点検口周り(撤去や開口作業で粉じんが出やすい)
- 配管の保温材・断熱材(空調・給排水・ダクト周り)
- 耐火被覆(鉄骨梁や柱の耐火材)
- 石膏ボード/けい酸カルシウム板(壁・天井下地で出ることがある)
- 床材(ビニル床タイル、長尺シート、下地材)
- 煙突・排気筒・機械室周辺(断熱材が絡みやすい)
退去の際の内装解体は「外から見える部分」だけで終わらず、配線撤去や設備撤去で天井裏・配管周りなど「外から見えない部分」にアスベストが含まれている事があります。
工事中に追加でアスベストが見つかると、工程が止まり、費用が跳ね上がることもありますので、専門家に事前調査をされる事をお勧めいたします。
弊社ではアスベスト調査も行っております。ご不安な場合はお気軽にお問い合わせください。
3基礎知識|レベル1〜3の違い(飛散性の目安)
アスベスト含有建材は、発じん性(飛散のしやすさ)に応じて便宜的にレベル1〜3に分類されることがあります。 これは「危険度のランキング」ではなく、工事方法の厳格さが変わりやすい目安と理解すると実務で使いやすいです。
レベル1が最も飛散しやすく、より厳格な施工が必要になりやすい/レベル3は相対的に飛散しにくい というイメージです。
| 区分 | 代表例 | 特徴(ざっくり) | 退去工事への影響(例) |
|---|---|---|---|
| レベル1 | 吹付け材(吹付け石綿など) | 最も飛散しやすい | 隔離・負圧など厳格な管理が必要になりやすい/工程が伸びやすい |
| レベル2 | 保温材・断熱材・耐火被覆材 | 次に飛散しやすい | 設備周り・天井裏で発覚しやすい/撤去手順が複雑になりやすい |
| レベル3 | 成形板(スレート、けいカル板等) | 相対的に飛散しにくい | 切断・破砕方法で対策が変わる/「やり方」で費用が動きやすい |
実務では「レベル」以上に、どの部位に・どの工事で触れるか(壊す/剥がす/穴あけ)が費用と工期に直結します。
4義務と手続き|誰が何をする?報告・届出の考え方
法令の話は難しく感じますが、退去工事の実務では次の3点だけ押さえると迷いにくくなります。
(1)工事前の「事前調査」は基本セット
解体・改修工事では、工事前に「石綿含有建材の使用の有無」を調べる必要があります。これが退去内装解体で調査が必要と言われる一番の理由です。
(2)一定規模以上は「事前調査結果の報告」が必要になる場合がある
一定規模以上の解体・改修では、事前調査結果を行政へ報告する必要があります。
退去工事の規模が大きいほど、「いつまでに報告が必要か」が工程に影響します(原則は工事開始前)。
オーナー・管理会社は手続きの“当事者”ではありません。
手続きの”当事者”は施工業者となりますが、だからこそ必要書類や工程・施工方法を把握しておくことが大切です。
5実務フロー|調査→(必要なら)報告→工事→完了書類
退去工事を「止めない」ための王道フローは次のとおりです。
STEP1:事前準備(原状回復の範囲・ビルルールを固める)
- 原状回復範囲(どこを撤去・復旧するか)を貸主・管理会社と合意
- ビル規約(搬出経路、EV使用、養生範囲、作業時間、夜間指定など)を確認
- 図面・仕上表・改修履歴・竣工年など、調査に必要な資料を収集
STEP2:事前調査(書面→目視→必要なら分析)
調査は「書面調査+現地目視調査」が基本です。
目視で判断できない場合は検体採取と分析を行います。目視での判断ができない場合に分析を行わないときは、当該建材はアスベスト含有材とみなされます。
STEP3:調査結果の整理(工法・範囲・工程の意思決定)
調査結果をもとに、以下を決めます。
- 石綿含有建材の有無(疑義の残る部位を含む)
- 工法(隔離・養生・集じん・湿潤化など)の方向性
- 廃棄物の扱い(分別、保管、運搬、マニフェスト等)
- 必要な報告・届出の有無
- 工程(いつ調査→いつ申請→いつ工事)
STEP4:(該当する場合)事前調査結果の報告・届出
一定規模以上の工事では、工事開始前までに事前調査結果の報告が必要になる場合があります。遅れると、「報告が完了するまで着工できない」形で工期がズレます。
STEP5:内装解体工事(レベル・部位に応じた施工)
アスベスト含有材は、3段階に分類されます。レベル1が最も飛散しやすく、隔離・集塵・作業手順が厳格となるため、工期および費用が増大します。レベル2、レベル3と進むにつれて飛散しにくくなりますが、いずれの場合においても、施工計画および施工管理について十分な説明を求めることが重要です。
STEP6:完了後(必ず受け取る書類)
退去後に揉めないために、完了時は次の書類を受け取って保管しましょう。
- 事前調査報告書(書面+写真、判断根拠)
- (該当時)報告・届出の控え
- 産廃関連書類(マニフェスト等)
- 施工写真(養生、搬出、完了状況)
- 管理会社の完了確認(立会い記録など)
6準備資料|図面がない・古い場合の集め方
「図面がない」「改修履歴が分からない」ケースは珍しくありません。ただ、資料が薄いまま調査に入ると、疑義が増えて分析が増えたり、安全側(高め)の工法になりがちです。そこで、実務的には次の順番で集めると効率的です。
優先度A:まず欲しい資料
- 賃貸借契約書・原状回復の特約(撤去範囲の前提)
- 竣工年(できれば着工年も)
- 平面図(レイアウト図でも可)
- 天井伏図・設備図(空調・配管・ダクト)
優先度B:あると調査が早くなる資料
- 仕上表(どの材料が使われているか)
- 改修工事の資料(過去の原状回復・改装の見積や図面)
- 建物のアスベスト調査履歴(ビル側で実施している場合)
・「退去の内装解体にあたり事前調査を行うため、竣工(着工)年と図面(平面図・設備図・天井伏図)を共有いただけますか?」
・「建物としてアスベスト調査の実施履歴があれば、該当部分の情報をいただけますか?」
・「工事ルール(搬出経路、EV使用、養生範囲、作業時間帯、申請期限)も合わせて確認したいです」
弊社ではアスベスト調査だけでなく、オーナー・管理会社との確認や調整もサポートしています。お気軽にお問い合わせください。
7費用の考え方|「調査費」・「分析費」・「工事費」は別(目安の見方)
費用で混乱しやすいのが、アスベスト対応の「調査費」「分析費」「工事費」は別物である点です。退去工事で失敗しないために、まずは費用を3階建てで考えるのがコツです。
書面調査および目視調査に加えて検体採取・分析まで実施する場合、費用は数万円~十万円程度となるケースが一般的です。
一方、工事費は、内装解体の範囲と除去範囲(部位・レベル)で大きく変わります。
(A)調査費(事前調査)の主な内訳
- 書面調査(図面・仕様書・改修履歴の確認)
- 目視調査(現地確認、写真記録)
- 報告書作成(写真・判定根拠、対象箇所一覧)
(B)分析費(必要な場合)の主な内訳
- 検体採取(サンプル採取、養生・復旧を含む場合あり)
- 分析費用(定性/定量など)
- 追加報告書・判定資料の作成(必要な場合)
(C)工事費(解体・原状回復)の主な内訳
- 内装解体(天井・壁・床・間仕切り・什器など)
- 設備撤去(空調・照明・配線・給排水等)
- 養生(共用部・室内)、搬出(小運搬)
- 産廃処分(分別、運搬、マニフェスト)
- (該当時)アスベスト対策工(隔離、集じん、湿潤、廃棄方法など)
アスベスト対応は、通常の内装解体よりも時間と手間がかかるため、費用が高くなるのが一般的です。
8小規模のアスベスト除去工事のお見積り事例(愛知県名古屋市)
| 番号 | 工事内容 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 通路床養生 | 2 | 人工 | 25,000 | 50,000 | |
| 2 | 2重袋・養生材等消耗品 | 1 | 式 | 15,000 | 15,000 | |
| 3 | Pタイルめくり 検査剤ケレン削り作業(アスベスト含有) | 2 | 人工 | 25,000 | 50,000 | |
| 4 | 発生材集積・小運搬費(袋詰め) | 1 | 式 | 15,000 | 15,000 | |
| 5 | 発生材処分(アスベスト含有) | 1 | 袋 | 45,000 | 45,000 | |
| 6 | 発生材収集運搬費 | 1 | 車 | 25,000 | 25,000 | |
| 7 | 諸経費8% | 1 | 式 | 16,000 | 16,000 | |
| お値引き | 1 | 式 | -6,000 | -6,000 | ||
| 小計 | 210,000 | |||||
工事前
工事中
9FAQ
Q1. 古いビルだと必ずアスベストがある?
A. “必ず”ではありません。ただし年代や部位によって使用可能性が変わるため、事前調査で確認します。見た目で断定せず、専門家による事前調査で判断してもらうのが基本です。
Q2. 内装の一部撤去でも調査は必要?
A. 工事内容が「解体・改修」に当たる場合、事前調査が求められるケースが多いです。小規模でも対象になり得るため、工事範囲と自治体・管理会社の運用を踏まえて確認してください。
Q3. 調査結果が「不明・判断できない」だとどうなる?
A. 追加で分析(検体採取)が必要になったり、「みなし含有」として安全側の工法になり、費用が上がりやすくなります。
Q4. 退去期限が近い。最短で何からやる?
A. ①原状回復範囲の確定(管理会社と合意)→②資料収集→③事前調査の手配、の順です。範囲が決まらないと調査対象も決まらず、最短ルートになりません。
まとめ
退去の内装解体でアスベスト対応が必要になったら、最重要ポイントは「事前調査を最初にやる」ことです。
- まずは原状回復の範囲(どこを撤去するか)を確定する
- 次に書面+目視の事前調査(必要なら分析)を行う
- 一定規模以上では事前調査結果の報告が必要になるケースがある
- 調査結果で工法・工程・費用が決まるため、退去期限があるほど早めに逆算する
退去期限がある場合は、調査→結果→(必要なら報告・届出)→工事を逆算して、早めに段取りをしましょう。
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MODEReNO ~原状回復・解体工事のモドリーノ~
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