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塩ビシートにアスベストは含まれる?クッションフロア・床材撤去前の確認ポイント

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塩ビシートにアスベストは含まれる?床材撤去前の確認ポイントを解説

塩ビシートにアスベストは含まれる?床材撤去前の確認ポイントを解説

2026/05/18

店舗やオフィス、施設の改修・原状回復工事を進める際、床に貼られている塩ビシート(ビニル床シート)を撤去する場面は少なくありません。

クッションフロア、長尺シート、コンポジションタイル――いずれも住宅から商業施設まで幅広く使われてきた床材です。

しかし、「床材だからレベル3で問題ない」「古くても飛散しにくいから大丈夫」と軽く見ていると、法令違反につながるリスクがあります。

特定の年代に製造された塩ビシートにはアスベスト(石綿)が含まれているケースがあります。

しかも床材本体だけでなく、裏打ち材や接着剤にも含有の可能性があり、目視だけでは判断できないことが多いです。

 

特に古い塩ビシートは、表面から見ただけではアスベストの有無を判断できません。床材本体だけでなく、裏打ち材や接着剤にアスベストが含まれているケースもあるため、「床材だから大丈夫」と安易に考えるのは危険です。

 

令和3年4月施行の大気汚染防止法改正、令和5年10月からは有資格者による事前調査義務化など、アスベストに関する法規制はここ数年で大きく変わっています。

 

本記事では、塩ビシート撤去前に確認しておきたい、アスベスト含有の可能性、見分け方、アスベスト調査の流れ、事前調査の必要性、法規制、撤去・処分時の注意点について分かりやすく解説します。

1. 塩ビシートとアスベストの基礎知識

1-1. 塩ビシートの種類と含有リスク

塩ビシートとは、塩化ビニル樹脂(PVC)を主原料とした床仕上げ材の総称です。製品種別によってアスベスト含有の背景が異なります。

製品種別 主な施工場所 含有の可能性がある箇所 注意が必要な年代の目安
クッションフロア(CF) 住宅・水廻り・居室 最下層の裏打ち材 1990年(平成2年)頃まで
長尺塩ビシート 廊下・病院・商業施設 裏打ち材・バッキング材 1990年頃まで
コンポジションタイル 事務所・学校・工場 原料への練り込み 1990年代初頭まで
床用接着剤 上記床材の下地全般 接着剤成分そのもの 2004年前後まで注意
床材本体より接着剤の方が含有リスクが長く残る場合があります。製品・メーカー・ロット・施工時期により異なるため、年代だけで判断しないようにしましょう。

1-2. アスベストが使用された理由

塩ビ系の床材や関連材料にアスベストが使われた理由は、主に次の2つです。

充填材・補強材として(コンポジションタイル等)

アスベスト繊維を原料に練り込むことで、強度・耐熱性・寸法安定性(温湿度変化による膨張収縮の抑制)を高めていました。

裏打ち材・バッキング材として(クッションフロア・長尺シート等)

製品の最下層にアスベストを含有した裏打ち材を積層することで、防火性・耐熱性を付与していたケースがあります。

いずれも表面からは見えない部分にアスベストが存在する可能性があるため、現場での目視判定は困難です。

これが塩ビシートのアスベスト問題を複雑にしている大きな要因です。

1-3. 建材レベルと塩ビシートの位置づけ

アスベスト含有建材は、飛散性の違いなどからレベル1〜3に区分されます。塩ビシートやビニル床タイルなどは、一般的にはレベル3建材として扱われることが多いですが、「レベル3だから対応が軽くて済む」というのは誤解です。

 

切断・破砕・研磨を行えば繊維が飛散するおそれがあります。湿潤化、原形を保った取り外し、粉じん飛散防止措置などはレベル3でも重要です。

2. 現場での見分け方・確認アプローチ

2-1. 建物・施工の年代情報を確認する

最初の確認として、設計図書・仕様書・改修記録から施工年代を確認します。

竣工や改修時期が1990年以前、または施工年代が不明な場合は、含有の可能性があるものとして扱うのが安全側の判断です。

ただし、年代情報だけで「含有なし」と結論づけることは避けてください。1990年代以降の改修工事でも流通在庫品が使われたケースがあり、接着剤については2004年前後まで含有の可能性に注意が必要です。

2-2. 製品情報・識別表示を確認する

床材の端部や裏面に製品名・製造番号が記載されていれば、以下の方法で含有の有無を照合できます。

  • 石綿含有建材データベース(環境省・国土交通省):製品名・メーカー名から検索できます。
  • メーカーへの問い合わせ:製品名・ロット番号・施工時期が分かれば、含有情報を確認できるケースがあります。
  • アスベストマーク(「a」マーク):平成元年7月製造分以降、一部のアスベスト含有建材には、含有を示す「a」マークが表示されていた場合があります。ただし、すべての含有建材に表示があるわけではないため、マークの有無だけで判断しないことが重要です。

丁寧な手解体が識別の鍵です

乱暴に剥がすと製品ラベルや裏面表示が失われます。製品情報を保全しながら進めることで、後からの照合が容易になります。

3. アスベスト調査の流れ

塩ビシートの撤去前にアスベストの有無を確認する場合、いきなり床材を剥がして判断するのではなく、段階を踏んで調査を進めることが重要です。

特に、「どこまで調査が必要なのか」「分析まで必要なのか」「行政報告の対象になるのか」を早めに確認しておくことで、工期遅延や追加費用のトラブルを防ぎやすくなります。

事前調査の流れ(3ステップ)

 

ステップ1:書面調査

設計図書、仕様書、確認申請書、改修履歴、メーカー資料などを確認します。

書面でアスベスト非含有が確認できれば、分析調査が不要になることもあります。

一方で、改修履歴がある場合は、書面上の建材と実際に使われている建材が異なる可能性があるため、慎重な確認が必要です。

 

ステップ2:目視(現地)調査

有資格者が現地で、天井・壁・床・配管設備などを確認します。

塩ビシートの場合は、床材の種類、施工状況、重ね貼りの有無、裏打ち材、接着剤残渣、下地材の状態などを確認します。

目視調査では、「種類が不明な床材がある」「接着剤や下地材の年代が分からない」「過去の改修で別の建材が使われている可能性がある」など、要注意箇所を洗い出します。

 

ステップ3:分析調査(必要な場合)

書面調査・目視調査だけではアスベストの有無を判断できない場合、試料を採取して専門機関で分析を行います。

塩ビシートでは、床材本体だけでなく、裏打ち材、接着剤、下地材などを層ごとに確認する必要がある場合があります。

この分析によって、アスベストの有無を科学的に確認し、安全な工事計画を立てる根拠にします。

アスベスト調査は、書面調査・目視(現地)調査・必要に応じた分析調査の順で進めるのが基本です。

判断が難しい場合は、自己判断せず有資格者や専門業者に確認しましょう。

4. 法規制と実務対応

4-1. 大気汚染防止法のポイント

令和3年(2021年)4月施行の改正大気汚染防止法により、アスベストに関する規制は強化されています。

建築物や工作物の解体・改修工事では、石綿含有建材の有無について事前調査を行う必要があります。

  • 解体・改修工事における事前調査が必要
  • 元請業者等の責任が明確化されている
  • 事前調査結果の記録・保存が必要
  • 一定規模以上の工事では、事前調査結果の行政報告が必要
  • レベル1・レベル2建材の除去など、特定粉じん排出等作業に該当する場合は、別途届出が必要となる場合がある

「届出」と「事前調査結果の報告」は分けて考える

一定規模以上の工事では、石綿の有無にかかわらず事前調査結果の報告が必要です。一方、吹付け石綿や石綿含有断熱材などの除去作業に該当する場合は、特定粉じん排出等作業として別途届出が必要となることがあります。床材の撤去だけで判断せず、建物全体の調査結果を踏まえて確認しましょう。

4-2. 事前調査の報告義務と有資格者義務化

令和4年(2022年)4月から、以下の規模の工事では事前調査結果の行政報告が義務化されています。

  • 建築物の解体工事:解体部分の床面積の合計80m²以上
  • 建築物の改修・解体工事:請負金額100万円以上(税込)

 

さらに令和5年(2023年)10月1日以降は、建築物の事前調査は、建築物石綿含有建材調査者等の有資格者が行う必要があります。

また、令和8年(2026年)1月1日以降に着工する一部の工作物の解体・改修工事についても、有資格者による事前調査が必要となります。

店舗や工場、設備を含む工事では、建築物だけでなく工作物に該当する部分がないかも確認しておくと安心です。

違反した場合の罰則

事前調査結果の報告義務に違反した場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

「発注者に言われたから不要と判断した」は免責理由になりません。元請業者として、調査・報告・記録保存の体制を整えることが重要です。

5. 撤去工事の実務手順

5-1. 作業前の準備チェックリスト

着手前に確認すること

  • □ 事前調査の実施・記録・行政報告(規模に応じて)
  • □ 作業計画書の作成・関係者への共有
  • □ 石綿作業主任者の選任
  • □ 作業者全員の特別教育受講確認
  • □ 掲示の準備(事前調査結果、作業内容、注意事項等)
  • □ 作業内容に応じた防じんマスク・保護衣・手袋・保護メガネ等
  • □ 湿潤化用の散水設備または噴霧器
  • □ 養生シート・石綿含有廃棄物用の梱包資材

5-2. 養生→湿潤化→手解体の流れ

【養生】作業エリアを養生シートで区画し、隣接室・廊下・換気口への粉じん拡散を防ぎます。

【湿潤化】塩ビシート・裏打ち材・接着剤残渣に散水または湿潤化剤を十分に浸透させます。

湿潤化はアスベスト繊維の飛散を抑える基本的かつ重要な措置です。乾燥した場合は、作業中も随時追加してください。

【手解体】バール・スクレーパーを使い、できるだけ原形を保ったまま剥がしていきます。電動工具による研削・切断は原則避けてください。やむを得ず使用する場合は、湿潤化、集じん装置の使用、飛散防止措置、適切な保護具の着用を徹底します。

【接着剤残渣の処理】床材撤去後に残る接着剤残渣にも含有の可能性があります。湿潤状態を保ちながら、へら・金属スクレーパー等で手作業にて除去してください。電動工具で下地を削る作業は粉じんが発生しやすいため、安易に行わないことが重要です。

5-3. 廃棄物の随時梱包

剥がした床材は湿潤状態のまま、飛散・流出しないように梱包します。

袋や容器には「アスベスト含有廃棄物」など、内容物が分かる表示を行ってください。

「後でまとめて袋詰め」は粉じん飛散につながります。剥がしながら随時梱包する習慣をつけましょう。

作業後は、HEPAフィルター付き真空掃除機の使用や湿式清掃などにより、粉じんを再飛散させない方法で清掃します。

最後に養生を撤去し、取り残しがないか確認して完了です。

 

弊社では、アスベスト調査から内装解体までをセットで行っております。

アスベスト調査と内装解体を別々に依頼すると、現地確認や日程調整、業者同士の連携に手間がかかり、工期の遅れや追加費用につながることがあります。

一方で、アスベスト調査と内装解体をセットで行えば、調査から内装解体までを一括で進められるため、手間・時間・コストを抑えやすいのが大きなメリットです。

6. 廃棄物処理の進め方

6-1. アスベスト含有廃棄物の処分先

アスベスト含有塩ビシートは、原則として「石綿含有産業廃棄物」として扱い、廃棄物処理法および環境省「石綿(アスベスト)含有廃棄物等処理マニュアル」等に従って処理します。

処分先は、廃棄物の種類、許可品目、処分場の受入基準によって異なります。

塩ビシートは廃プラスチック類に該当する可能性があるため、安定型・管理型の別を自己判断せず、収集運搬業者・処分業者に対して、石綿含有産業廃棄物としての受入可否、梱包方法、表示方法、マニフェスト記載方法を事前に確認することが重要です。

6-2. 委託先確認とマニフェスト

処理を委託する場合は、必ずマニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行し、許可を受けた業者に委託します。

委託前に以下を確認してください。

  • 収集運搬業者の産業廃棄物収集運搬業許可
  • 処分業者の産業廃棄物処分業許可
  • 許可品目に該当する廃棄物を取り扱えるか
  • 石綿含有産業廃棄物としての受入条件
  • 梱包・表示・積込方法の指定

無許可業者への委託は廃棄物処理法違反となり、元請業者や排出事業者も責任を問われます。

業者を変更する際には、許可証と受入条件を必ず再確認するようにしましょう。

7. よくある現場の疑問

Q. 「アスベスト調査は不要」と言われました。そのまま進めてもいいですか?

A. いいえ。解体・改修工事では、法令に基づく事前調査が必要です。「知らなかった」では済まされない場合もあります。

法令上の義務を丁寧に説明し、調査費用を見積もりに明示して理解を得てから行うことをお勧め致します。

Q. 床材は1990年以降の施工ですが、接着剤が古いままの場合は?

A. 床材と接着剤は別々に確認対象として扱う必要があります。床材が新しくても、下地に古い接着剤残渣が残っている場合は含有の可能性があります。接着剤の施工年代が不明な場合は、分析調査またはみなし含有での対応を検討しましょう。

まとめ

  • 古い塩ビシートやクッションフロアには、アスベストが含まれている可能性がある
  • 床材本体だけでなく、裏打ち材・接着剤・下地材にも注意が必要
  • アスベストの有無は、見た目だけでは判断できません
  • 撤去前には、書面調査・目視調査を行い、必要に応じて分析調査で確認することが重要
  • アスベスト含有が判明した場合は、湿潤化・養生・保護具の使用・適切な廃棄物処理など、法令に沿った対応が必要
  • 塩ビシートを撤去する際は、自己判断せず、事前調査を行ったうえで安全に工事を進めましょう。

 

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