造作解体・内装解体とは?費用相場・工事範囲・退去時の注意点を解説
2026/06/262026/06/26
店舗や事務所を退去するとき、「造作解体が必要です」「内装解体をしてください」と管理会社や不動産オーナーに言われて、何のことかよくわからなかった、という方は多いのではないでしょうか。
造作解体・内装解体はいずれも「内装を撤去する工事」ですが、工事の範囲や使われる場面には違いがあります。
この記事では、店舗・テナントを借りている方に向けて、造作解体と内装解体の違い、工事範囲、費用相場、退去時の注意点をわかりやすく解説します。
1. 造作解体とは?スケルトン解体との違い
造作の意味
建築用語で「造作(ぞうさく)」とは、内装の仕上げ・装飾や取り付け家具のことを指します。
既製品を使用せず、現場の寸法に合わせて大工が特注で製作するもの全般を意味することが多く、具体的には特注の家具・収納・建具などが該当します。
また、床・壁・天井に取り付けられた柱や梁材、板張りなど、使い勝手やデザイン性を高めるための装飾も造作に含まれます。
「造作解体」とは、主にテナントが入居中に設置したこれらの特注家具・収納・建具や装飾などを撤去する工事のことです。
次のテナントが入居しやすい状態とするために欠かせない作業となります。
造作解体・内装解体・スケルトン解体の違い
| 用語 | 工事内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 造作解体 | 入居中に設置した特注家具・収納・建具や装飾などを撤去する工事 | 現入居者専用の造作を撤去することで、次のテナントが居抜きに近い形で入居しやすい状態をつくること |
| 内装解体 | 天井・壁・床など、室内の内装全般を撤去する工事 | 店舗改装、テナント退去、全面リフォーム |
| スケルトン解体 | 内装をほぼすべて撤去し、躯体が見える状態に戻す工事 | スケルトン返し、大規模改装、次テナントへの引き渡し |
※ 実際の現場では「造作解体」と「内装解体」が同じような意味で使われることもあります。見積もり時には、言葉の違いよりも「どこまで撤去するのか」を具体的に確認することが重要です。
2. 内装解体とは?造作解体との使い分け
内装解体の定義
内装解体とは、建物の躯体を残したまま、室内の内装材・設備・仕上げ材を撤去する工事の総称です。天井、壁、床の仕上げ材だけでなく、石膏ボードなどの下地材まで撤去するケースもあります。
造作解体が「テナントが設置した造作や設備の撤去」を中心に使われるのに対し、内装解体はより広い範囲の撤去を指す言葉として使われることが多いです。ただ、会社によっては同じ意味合いとして使われている会社もあります。
どちらが必要かを判断するポイント
| 確認事項 | 造作解体が中心になるケース | 内装解体・スケルトン解体が必要になるケース |
|---|---|---|
| 契約書の返却条件 | 「原状回復」「借主施工分を撤去」など | 「スケルトン返し」「内装をすべて撤去」など |
| 撤去の範囲 | テナントが施工した内装・設備が中心 | 天井・壁・床・下地材まで含む場合がある |
| 費用の傾向 | 比較的抑えやすい | 範囲が広いため高くなりやすい |
| 工期の目安 | 1日〜1週間程度 | 数日〜4週間程度 |
3. 造作解体・内装解体の工事範囲
工事に含まれる主なもの
造作解体・内装解体で撤去対象になりやすいものは以下のとおりです。基本的には、テナントが入居後に施工・設置した内装や設備が対象になります。
| カテゴリ | 具体的な撤去対象 |
|---|---|
| 床材 | フローリング、Pタイル、クッションフロア、長尺シート、カーペットなど |
| 壁・天井 | 壁クロス、天井ボード、間仕切り、パーティション、塗装仕上げなど |
| 建具 | ドア、引き戸、追加設置したサッシなど |
| 造り付け家具 | カウンター、棚、造作収納、受付台、レジ台など |
| 設備 | エアコン、換気扇、ダクト、照明器具、電気配線、給排水設備など |
| 飲食店特有の設備 | 厨房機器、グリストラップ、排気ダクト、ガス配管など |
原則として撤去対象になりにくいもの
- オーナーや貸主が当初から設置していた設備
- 建物の構造体である柱・梁・コンクリート躯体
- 共用部分である廊下・階段・エレベーター・外壁
- 契約書で「残置可」「現状有姿で返却可」とされているもの
4. 造作解体・内装解体の費用相場
㎡単価・坪単価の目安
造作解体・内装解体の費用は、工事範囲、業態、設備量、階数、搬出条件、廃棄物の量などによって大きく変わります。目安としては、以下のような単価帯で考えるとよいでしょう。
| 工事の種類 | ㎡単価の目安 | 坪単価の目安 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 造作解体・内装解体 | 4,500〜18,000円 | 15,000〜60,000円 | 間仕切り、床材、造作家具、天井材など、必要な範囲を撤去する工事 |
| スケルトン解体 | 9,000〜20,000円 | 30,000〜66,000円 | 内装をほぼすべて撤去し、躯体が見える状態まで戻す工事 |
| 原状回復工事 | 4,500〜30,000円 | 15,000〜99,000円 | 撤去後に壁・床・天井などを補修、復旧する工事を含む場合がある |
※ 上記はあくまで目安です。実際の費用は、物件の状態、工事範囲、産業廃棄物の種類、夜間・休日工事の有無などによって変動します。
業種別の費用目安
| 業種・用途 | 費用の傾向 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 一般オフィス・事務所 | 比較的安め | 造作や設備が少なく、間仕切り・床材の撤去が中心になりやすい |
| 物販店・アパレル | 中程度 | 什器、棚、造作壁、装飾内装などが多い場合がある |
| 飲食店・カフェ | 高め | 厨房設備、ダクト、配管、グリストラップなどの撤去が必要になる |
| 重飲食・大型厨房 | 高め | 大型排気設備、油汚れのある廃材、床下配管などで手間がかかりやすい |
| 美容室・エステ・サロン | やや高め | 給排水設備、シャンプー台、鏡、造作家具などが多い |
| クリニック・医療系 | 高め | 特殊設備や間仕切り、配管、電気設備が多い場合がある |
費用が高くなりやすい要因
- 高層階・地下階:廃材の搬出に手間がかかる
- 廃棄物の種類が多い:分別や処分費用が増えやすい
- 飲食店設備が多い:厨房機器、ダクト、グリストラップなどの撤去が必要になる
- アスベスト含有建材がある:通常の解体とは別に専門対応が必要になる
- 夜間・休日工事:ビルや商業施設のルールにより割増費用が発生する場合がある
- 養生範囲が広い:共用部分や隣接テナントへの配慮が必要になる
- 複数業者から相見積もりを取る
- 撤去範囲を事前に明確にする
- 不要な什器や家具を事前に整理しておく
- 退去日まで余裕を持って業者に相談する
- 見積書の「一式」表記が多すぎないか確認する
5. 造作解体・内装解体が必要になるケース
店舗・事務所の退去時
最も多いのが、テナント退去時の原状回復です。
賃貸借契約では「借主が施工した内装や設備を撤去して返却する」と定められているケースがあります。
特に事業用物件では、住宅用賃貸と異なり、契約内容によっては「スケルトン返し」が求められることもあります。
ただし、どこまで撤去する必要があるかは、契約書の内容や入居時の状態、管理会社・オーナーとの合意によって変わります。
店舗改装・業態変更を行うとき
飲食店から物販店へ、美容室からオフィスへといった業態変更の際にも、既存の造作を撤去して新しい内装に作り替えるケースがあります。
居抜き物件をスケルトンに戻すとき
居抜きで引き渡す予定だったものの、次のテナントの業態に合わない、設備が古い、内装の劣化が大きいといった理由で、スケルトン状態に戻すケースもあります。
📞 造作解体・原状回復のご相談はお気軽に
退去スケジュールの確認から、工事範囲の整理、見積もりまでサポートいたします。「何をどこまで解体すればよいかわからない」という段階でも、お気軽にご相談ください。
6. 工事の流れ(6ステップ)
STEP 1:賃貸借契約書の確認
まず確認すべきなのは、賃貸借契約書の「原状回復条項」です。返却条件、指定業者の有無、退去通知の期限、工事可能時間などを確認しましょう。
STEP 2:管理会社・オーナーとの打ち合わせ
どこまで撤去するのか、何を残してよいのか、スケルトン返しが必要なのかを確認します。口頭だけでなく、メールなど書面に残しておくことが大切です。
STEP 3:業者の選定と見積もり
複数の業者に現地調査を依頼し、見積もりを比較します。見積書には、解体費、養生費、産業廃棄物処理費、運搬費などが明記されているか確認しましょう。
STEP 4:アスベスト事前調査
建物の解体・改修工事では、工事対象となる建材について、アスベストが含まれているかを事前に確認する必要があります。特に2006年9月以前に建てられた建物では、石綿含有建材が使われている可能性があるため注意が必要です。
事前調査は、設計図書などの書面確認と現地での目視確認を行い、必要に応じて分析調査を実施します。また、一定規模以上の解体・改修工事では、事前調査結果を電子システムで報告する必要があります。
アスベストが確認された場合は、通常の内装解体とは別に、専門的な飛散防止措置や除去作業が必要になります。そのため、古い建物の店舗・事務所を退去する場合は、早めに管理会社や解体業者へ確認しておきましょう。
STEP 5:工事・廃棄物処理
共用部分や隣接テナントへの養生を行ったうえで、内装・造作の撤去を進めます。発生した廃材は産業廃棄物として、許可を持つ業者により適切に処理されます。
廃棄物処理については、マニフェスト管理が適切に行われているかも確認しましょう。不適切な処理を行う業者に依頼すると、不法投棄などのトラブルにつながるおそれがあります。
STEP 6:完了確認・引き渡し
工事完了後、管理会社・オーナーと現地確認を行います。合意した範囲が正しく撤去されているか、破損や残置物がないかを確認し、問題がなければ鍵を返却して退去完了となります。
・退去の2ヶ月前:契約書確認、管理会社への連絡
・退去の1〜1.5ヶ月前:業者選定、見積もり、アスベスト調査
・退去の2〜3週間前:工事開始
・退去日:引き渡し、鍵の返却
7. 失敗しないための注意点
① 工事範囲は書面で確認する
造作解体・内装解体で最も多いトラブルは、「どこまで撤去するか」の認識違いです。撤去するもの、残すもの、返却状態について、管理会社と書面で確認しておきましょう。
② 安すぎる見積もりには注意する
相場より極端に安い見積もりには注意が必要です。廃棄物処理費が含まれていなかったり、後から追加費用を請求されたりするケースがあります。
見積書の内訳を必ず確認しましょう。
③ アスベスト調査を省略しない
古い建物では、床材、天井材、壁材、接着剤などにアスベストが含まれている可能性があります。
調査をせずに解体を進めると、法令違反や健康被害のリスクがあります。
④ 指定業者の有無を確認する
ビルや商業施設では、管理会社やオーナーが業者を指定している場合があります。
指定業者があるにもかかわらず別の業者で工事を進めると、トラブルになる可能性があります。
⑤ 退去日ギリギリに動き始めない
内装解体は、規模によって1日〜2週間以上かかることがあります。
業者の手配、見積もり、管理会社との調整、アスベスト調査を考えると、退去の1〜2ヶ月前には動き始めるのが理想です。
8. 造作買取請求権とは?
造作解体に関連して知っておきたいのが「造作買取請求権」です。これは、借主が貸主の同意を得て建物に付加した造作について、賃貸借契約が終了する際に、貸主に時価で買い取るよう請求できる権利です。
ただし、事業用賃貸では、契約書の特約で造作買取請求権が排除・制限されている場合があります。そのため、「造作を買い取ってもらえるはず」と考えていると、退去時に解体費用が発生することがあります。
9. よくある質問(FAQ)
Q. 造作解体と内装解体は何が違いますか?
A. 実務上は似た意味で使われることが多いですが、造作解体はテナントが設置した造作や設備の撤去を指し、内装解体は天井・壁・床など内装全般の撤去を指すことが多いです。業者によって使い方が異なるため、見積もり時には撤去範囲を確認しましょう。
Q. 小さな店舗の造作解体は何日くらいかかりますか?
A. 10〜15坪程度のシンプルな店舗であれば、1〜3日程度が目安です。ただし、飲食店で厨房設備が多い場合や、アスベスト対応が必要な場合は、さらに日数がかかることがあります。
Q. 自分で造作解体することはできますか?
A. 什器や家具の搬出程度であれば自分で行える場合もありますが、電気・ガス・水道が関係する工事や、産業廃棄物の処理が必要な工事は専門業者に依頼するのが安全です。
Q. 管理会社指定の業者が高い場合、交渉できますか?
A. 交渉できる場合もあります。他社の見積もりを取得し、管理会社に相談してみましょう。ただし、契約書で指定業者の利用が定められている場合は、その条件に従う必要があるケースもあります。
Q. アスベスト調査は必ず必要ですか?
A. 解体・改修工事では、工事対象となる建材についてアスベストの有無を事前に確認する必要があります。一定規模以上の工事では、調査結果の電子報告も必要になります。古い建物の場合は特に注意しましょう。
10. まとめ
造作解体・内装解体は、店舗や事務所の退去時に必要となることが多い工事です。特に大切なのは、「どこまで撤去するか」を管理会社・オーナーと事前に書面で確認することです。
費用相場は㎡単価4,500〜18,000円、坪単価15,000〜60,000円程度が目安ですが、業態や設備量、物件の条件によって大きく変わります。
飲食店や美容室など設備が多い業態では、費用が高くなる傾向があります。
また、古い建物ではアスベスト調査が必要になる場合があります。退去日が近づいてから慌てないよう、退去の1〜2ヶ月前には契約書を確認し、管理会社や解体業者に相談しておくことをおすすめします。
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MODEReNO ~原状回復・解体工事のモドリーノ~
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