壁紙にアスベストは含まれている?年代・種類・調査が必要なケースをわかりやすく解説
2026/06/092026/06/09
店舗・事務所の内装解体前に、こんな疑問を持つ方は少なくありません。
「この壁紙にアスベストが入っているのだろうか」
「古い建物の壁紙を剥がしても大丈夫か」
日本では1969年頃〜1991年頃にかけて、アスベスト(石綿)を含む壁紙が製造・販売されていました。
当時は「不燃クロス」「無機質壁紙」とも呼ばれ、ビルの廊下・階段・厨房まわりなど、防火性能が求められる場所に使われていたとされています。
壁紙の表面を見るだけでは、アスベストの含有有無を判断することはできません。
この記事では、壁紙とアスベストの関係を整理し、内装解体前に確認すべきポイントをわかりやすく解説します。
1. 壁紙にアスベストが含まれていた年代と種類

アスベストを含む壁紙が製造・販売されていたのは、主に1969年頃〜1991年頃までとされています。
この時期に建てられた、または内装工事が行われた建物には、アスベスト含有壁紙が使用されている可能性があります。
2006年9月以降は、アスベスト含有建材の新たな使用は原則禁止されています。
そのため、2006年9月より前に施工された建物については、壁紙が新しくても古い下地材や過去の改修部分にアスベストが残っている場合があり確認が必要です。
アスベスト含有壁紙は「不燃クロス」「無機質壁紙」などと呼ばれ、アスベスト繊維を漉き込んだ裏紙にビニルフィルムを重ねた構造が多く、表面からは見分けることができません。
使われていたアスベストの種類は、主にクリソタイルとされています。
特に使用されていた可能性がある場所としては、ビルの廊下・階段・エレベーターホール、飲食店の厨房まわり、住宅の台所・ユーティリティなど、防火性能が求められた空間が挙げられます。
| 施工時期 | 壁紙本体のリスク | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 1969年頃〜1991年頃 | 含有の可能性あり | 壁紙本体・周辺材ともに確認が必要 |
| 1992年〜2006年8月 | 壁紙本体は比較的低リスク | パテ・下地材・過去の改修部分は要確認 |
| 2006年9月以降 | 基本的には含まれていない | 古い下地や既存部分が残る場合は確認を |
2. 壁紙だけではない——確認が必要な周辺材料

内装解体・リフォームでは、壁紙本体だけでなく、施工に使われた周辺材料も確認対象になります。
壁の構造は複数の層が重なっているため、工事で触れる範囲全体で考えることが重要です。
- 接着剤(のり)・接着層——壁紙の裏側に隠れており、施工時期や使用材料が不明な場合は、周辺材とあわせて確認が必要
- パテ(下地調整材)——壁紙を剥がすと現れる部分。パテにもアスベスト含有製品が存在するため注意が必要
- 下地ボード(石膏ボード・ケイカル板など)——ボードまで撤去する工事では特に要確認
- 繊維壁・砂壁——古い塗り壁の上から壁紙を貼り重ねているケースもある
考え方のポイント
「壁紙にアスベストが含まれているか」だけを確認するのではなく、「この解体工事で触れるすべての材料を確認する」という視点が安全な工事の基本です。
3. 見た目では判断できない理由
壁紙の色・状態・新しさだけでは、アスベストの含有有無を判断することはできません。
主な理由は以下の3点です。
①表面だけ張り替えられているケースがある——新しい壁紙の下に、古い下地材やパテが残っている可能性があります。また、接着剤にアスベストが含まれれている場合もあります。
②アスベストは肉眼で見えない——アスベスト繊維は極めて細く、顕微鏡や専門の分析機器がなければ確認できません。
③施工記録が残っていないことが多い——古い建物では仕様書・改修履歴がなく、書面での確認ができないケースがあります。
自己判断で起こりやすいリスク
- 「見た目が新しいから安全」と思い込む
- 確認のために壁紙を剥がし、アスベストを飛散させてしまう
- 工事直前に調査が必要とわかり、工程が大幅に遅れる
4. 調査が必要なケースの目安
以下に当てはまる場合は、内装解体・リフォームの前に事前調査を行うことをおすすめします。
- 建物が2006年9月より前に建てられた、または内装工事が行われた
- 施工当時の仕様書・改修履歴が手元にない
- 壁紙の種類・施工時期・施工業者が不明
- パテ補修・下地補修・ボード撤去など、壁紙以外も工事対象になる
- スケルトン工事・大規模リノベーション・建物解体を行う
- 店舗・オフィスの退去に伴う原状回復工事がある
5. 事前調査の流れ
アスベストの事前調査は、大きく3段階で進みます。
①書面調査——設計図書・仕様書・改修履歴などを確認し、使用建材の種類と施工時期を整理します。石綿含有建材データベースやメーカー資料と照合し、含有の可能性を確認します。ただし、書面だけで判断できない場合は、目視調査や分析調査が必要になります。
②目視(現地)調査——有資格者が現地を訪問し、壁紙の種類・状態・改修跡などを確認します。工事でどこまで触るかという視点で、確認範囲を特定します。
③分析調査——書面・目視だけで判断できない場合は、建材の一部を採取し、分析機関で確認します。
分析を行わない場合は「みなし含有」として、アスベストが含まれている前提で対応することもあります。
調査結果をもとに、解体方法・養生・廃材処分・工程が決まります。
事前調査は安全な工事のための前提であり、省略できるものではありません。
弊社では、建築物石綿含有建材調査者の資格保有者が在籍しており、アスベスト調査も行っております。ご不安な場合はお気軽にお問い合わせください。
6. 法令・規制の基本
建築物の解体・改修工事では、工事前に石綿含有の有無を確認する事前調査が必要です。
事前調査では、工事で触れる可能性のある建材について、設計図などの書面確認と現地での目視確認を行います。
建築物については、2023年10月から、原則として建築物石綿含有建材調査者などの有資格者による事前調査が必要とされています。
なお、工作物についても、2026年1月から対象となる工事では有資格者による事前調査が必要になります。
また、2022年4月からは、一定規模以上の解体・改修工事について、事前調査結果を電子システムで行政へ報告する義務が開始されています。
建築物に関する主な報告対象工事は、以下のとおりです。
- 建築物の解体工事——解体部分の床面積の合計が80㎡以上
- 建築物の改修工事——請負金額が税込100万円以上
- 工作物の解体・改修工事:請負金額の合計が税込100万円以上
※特定の工作物や船舶についても、条件により報告対象となる場合があります。
無調査のまま工事を進めてアスベストが見つかった場合、工事中断・追加費用・法令違反による罰則リスクが生じます。退去期限が迫っている場合でも、工事前の確認を省略せず、早めに専門業者へ相談することが重要です。
※法令・基準は改正されることがあります。最新情報は環境省・厚生労働省・国土交通省などの公式情報をご確認ください。
7. よくある質問
8. まとめ
壁紙とアスベストの関係について、重要なポイントを整理します。
- 2006年9月以前に施工された建物には、アスベスト含有壁紙が残っている可能性がある
- 壁紙本体だけでなく、接着剤・パテ・下地ボードなど、工事で触れる周辺材も確認対象になる
- 見た目では判断できないため、自己判断での剥がし・削りは危険
- 建築物の解体・改修工事では、事前調査が必要であり、建築物については原則として有資格者による調査が求められる
- 一定規模以上の工事では、2022年4月から事前調査結果の電子報告義務がある
壁紙という名称だけで安全と判断せず、工事で触れる範囲全体を確認することが大切です。
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